・花粉症の詳しい解説 

 

●花粉症とは?

 「アレルギー性鼻炎」、「アレルギー性結膜炎」、「アレルギー性皮膚炎」 などのうち、アレルギーの原因が花粉である疾患をまとめて「花粉症」と言います。 このように、花粉症はアレルギー性の病気なので、おなじアレルギー性疾患であるアトピー性皮膚炎や気管支喘息などとセットでかかってしまう人も少なくありません。日本で発症する花粉症の原因のほとんどが2〜5月に飛散するスギ花粉とヒノキ花粉によるものです。 しかし「スギ」と「ヒノキ」以外にも、「イネ」や「ブタクサ」な ど、花粉症の原因となる植物は50種類以上もあります。

 

花粉症の仕組み

花粉症は、吸い込んだ息と一緒に気管内に入ってきた花粉成分が鼻の粘膜に浸透し、体がそれを異物と認識し、「抗原」である花粉成分に特有の「IgE抗体」 が体内でつくられることから始まります。人の体には、異物が侵入したときにそれを排除するための「抗体」をつくる働きがあります。たとえば異物である細菌 が侵入してくると、体はそれを異物として認識し、その細菌成分である「抗原」に特有な「抗体」が作られ、細菌を体内から排除しようとするのです。この機能 を「免疫反応」と言います。
 

「抗原」に対して作られる「抗体」にはいくつか種類があり、IgM抗体、IgG抗体、IgE抗体などがありますが、アレルギー に関係するのはIgE抗体です。さて、通常であればこの免疫反応は適正な範囲でコントロールされているのですが、その免疫機能が過剰に働いてしまう場合に起こるのがアレルギー反応です。

 

<IgE抗体のはたらき>

 

 体内に入ってきた花粉の成分が鼻の粘膜に浸透すると、それを異物と認識し、特有のlgE抗体が作られます。

IgE抗体が肥満細胞と結合し、再侵入した同じ抗原を排除しようとヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質を放出します。

花粉(抗原)の侵入から、IgE抗体が作られ肥満細胞と結合し、再び花粉の侵入に反応するまでの期間が数年から数十年に渡ることもあり、いつアレルギー反応が起きるかは、わかりません。

 しかし、アレルギー反応はIgE抗体が体内で少量つくられただけでは起こりません。 例えば沖縄では花粉症はまれですが、沖縄の人が花粉の飛散量の多い土地へ一度くらい旅行に出かけても花粉症の症状が現れることはありません。沖縄ではそれまで花粉に接する機会がないからです。アレルギーはどれもそうですが、一 度も「抗原」に接触していなければ突然起こることはないのです。なぜかというと、体は「抗原」が初めて体内に入ってきた時には、抗体を少量しか作りません。少量のIgE抗体では通常アレルギー反応は起きず、実際にアレルギー反応を起こすほどの大量の抗体をつくるのは、二度目、三度目以降に抗原が侵入してきた時なのです。そのため、一度目は平気だったのに二度目、三度目以降にアレルギー反応が出たりするのです。さて、大量につくられたIgE抗体が肥満細胞 と結合すると、肥満細胞が活性化し、その細胞内部にあるヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質を放出します。すると、ヒスタミンが神経や血管など を刺激して、「くしゃみ」「鼻水」「鼻詰まり」といった症状を起こし、なんとか花粉を外へ出そうとします。 もともとアレルギー・アトピー体質の人は、IgE抗体をつくりやすいため、花粉症になる人が多く、これまでは体質と環境要因によって発症するものと思われてきました。しかし最近では、遺伝的な体質 がなくても起こり得るということが分かってきました。最近では、スギ花粉の大量飛散により、5歳〜9歳で発症する子供も増えています。また、50歳を越えて から花粉症なったという方もたくさんいます。ですから、「自分は花粉症の家系で無いから大丈夫」と思っていても年齢に関係なく突然発症する可能性は大いにあります。

 

花粉症対策

やはり、第一には花粉を大量に吸い込まないことです。

昼間や帰宅時間帯は、人や車の動きが増え、花粉が舞うため、あまり外へ出ないようにしましょう。天気がよくて暖かいと、外でお弁当を食べたいな、と思うかもしれませんが、花粉が大量に飛散する時期は避けた方が良いでしょう。また、外出から戻った時には、服についている花粉を落とすことも大切です。


予防法 

  ① 外出時間帯を選ぶ
  ② 外出時はマスクや眼鏡を着用
  ③ 風邪に気をつけ、十分な睡眠を取って体調を整える
  ④ 帰宅時花粉を家の中へ持ち込まない
  ⑤ こまめに室内の掃除


 

花粉症ではない人も予防をしておくに越したことはありません。

出来るだけ花粉を避けるセルフケアを心がけましょう!

 

花粉症に悩んでいる方に朗報!

花粉症の早期改善は、医療機関の治療に電子負荷療法の併用を!
 

◆花粉症は死に至る病気ではありませんが、自然に治るという事は少なく、難治性であり、かつ長期間にわたって服用する通常の治療薬の副作用に対する不安などがあるのも事実です。花粉症の治療には現在いろいろな特徴を持った薬剤があり、それぞれの症状に合わせて医師から処方出来るようになっています。眠気や口渇が生じやすい方には、このような副作用の出現が非常に少ない薬剤もあります。また、薬物治療以外にも減感作療法などその効果は評価されているようですが、改善に時間がかかる欠点があります。

花粉症の有効な治療へのなによりの近道は、御自身の症状、特にどんな症状に困っているのかを相談し、治療法について十分な説明を受け、症状に合わせた治療を受けることです。


花粉症は、飛散数がたとえ2倍、3倍となっても症状が2倍、3倍と強くなる訳ではなく、症状はあるところで一定になります。逆に飛散数が半分になったからといって、症状の強さも半分になる訳ではありません。対策は早期から「対症療法」と「タカダ電子療法」の併用治療を行って、毎年ごとの対策ではなく、体質そのものの改善が必要です。

 

煙や飲酒などの生活習慣病、過激なダイエット、仕事上のストレスなど…皆さん年齢を問わず何らかの疾患を持っているのではないでしょうか。 また、今は快調であっても長生きできる時代ですから、老化から発症する病気が心配です。


医療費の個人負担の増加。 日頃から自分自身の身体の状態を意識し、症状のあるなしにかかわらず、自分の体に関心を持ち、病気になる前(未病のうちに)にしっかりとした予防を行うことが健康維持の第一歩であると思います。

 


身体にあるツボ(経穴)は、体内の神経などと繋がっていて、外側と内側を繋ぐ目のようなものです。 場所によってはツボは急所になります。ここに何らかの刺激を与えると自律神経の働きが良くなり、呼吸・心拍数・体温が上がり、身体の機能を向上させるといわれ、昔からの医学として常識になっています。 そして花粉症にも効果があるといわれています。

タカダイオン電子療法(細胞改善療法)の施術は、まずはじめにツボの位置を正確に探索する工程を重視しています。電子はツボから取り込むことで効率よく還元されますので、このツボ探索がタカダイオン電子療法の要と言えます。そこから電子を注入して症状を改善していきます。
様々な花粉症対策を続けていたけれど、あまり改善の見られなかった方は試してみる価値があります。

注射や薬、あるいはツボのマッサージや鍼治療なども良いですが、即効性や体質改善は、タカダ電子療法(細胞改善療法)であれば、細胞レベルでしっかりケアすることが出来るので、早い対策を希望される方はぜひタカダイオン子療法をお試しください。

 

花粉症とは

 花粉症とは、花粉によって引き起こされるアレルギー性疾患です。
 主な症状は、
くしゃみ 鼻水 目のかゆみ です。

原因となる花粉が飛散する時期にだけ症状が現れるので、季節性アレルギー性鼻炎とも言われます。
花粉症と風邪との違いは、「鼻水」にあらわれます。
一概にはいえませんが、花粉症の鼻水はサラサラとしており粘着性がないのが特徴です。


● 季節 日本は南北に細長い国のため、飛散する花粉には地域差があります。
春先、北海道では白樺花粉が多く飛散しますが、本州・四国・九州ではスギ花粉が多く飛散します。
そして、初夏はイネ科の花粉、秋はブタクサの花粉、といったような季節による違いもあります。

花粉症は2月から4月にかけてのみ発症するのではなく、原因となる花粉の種類によっては、夏や秋にも発症します。

 ハンノキ 1月~3月  スギ 1月~5月
 ヒノキ 3月~5月  シラカンバ 4月~6月
 スズメノテッポウ 4月~7月  カモガヤ 4月~7月
 ハルガヤ 5月~7月  オオアワガエリ 6月~8月
 ブタクサ 8月~10月  ヨモギ 8月~10月
 カナムグラ 9月~10月  アキノキリンソウ 11月~12月

ほぼ通年、何かしらの花粉が飛んでいます
 

● 花粉症が増えている!?
昭和45年頃からスギ花粉症の患者さんが徐々に増えはじめ、昭和50年代に入るとその数が急激に増加しました。それには、日本におけるスギの植林事情が影響しています。


【スギ花粉の季節】

 昭和30年代に拡大造林と呼ばれる林業政策によって、日本中にスギが植林されました。
この植林されたスギが成長して花粉を産生する樹齢に達し、昭和50年代にいっせいに花粉を飛散するようになったことが、スギ花粉症患者急増の原因だと言われます。
花粉症の患者が増えている背景には、こういったスギ花粉だけでなく、日本の豊かさの裏に隠された公害や、食生活の変化などもあるようです。
花粉症に限らず、アレルギーをもつ人はこれからも増えるかもしれません。


● 花粉症の症状
 花粉症は鼻や目に様々な症状を引き起こすこと以外にも、身体の各部位に特有の症状を引き起こします。
スギ花粉症の患者さんの症状を聞いてみると…


 くしゃみ 鼻水 鼻づまり 目やのどのかゆみ 咳がでる

などの症状を訴える人が多いことがわかります。また、

 頭重感 頭痛 倦怠感 不眠 身体のほてり 顔のほてり イライラ感

 胃腸の具合が悪い

など、きわめて多くの症状があることもわかります。

そのため、花粉が飛散する時期になると、花粉症の患者さんの中には肉体的にも精神的にも非常に意欲が低下して、日常生活にまで支障をきたしてしまう方もいます。

一見風邪のような症状もあり、勘違いしてしまいがちですが

病院を受診しアレルギーテストをしてもらうことでわかることもあります。


鼻の症状
 鼻の症状として、くしゃみが10数回続けてでたり、中には1日中絶え間なくでて止まらない人もいます。
そのために、腹筋や胸筋を痛めてしまう方もいます。

鼻水も、水のような鼻水が止めどなく流れ出るという感じが特徴です。
また、鼻をかみすぎて、鼻の入り口が赤くただれて痛くなることもしばしばあります。
鼻づまりは、鼻の症状の中で一番つらい症状です。

ただでさえ鼻の奥は狭くなっており、少しでも粘膜がはれると鼻づまりを感じるものです。
ひどい場合は両方の鼻が完全につまってしまい、全く鼻で息をすることができなくなります。
そうすると必然的に口で息をしなければならなくなりますが、鼻で息をできないと夜眠れずに、睡眠不足になることもあります。
また、口で息をする結果、のどがカラカラに渇くという二次的な影響も出てきます。


対処法:
 鼻のかみすぎで鼻周辺が赤くただれてしまうことを防ぐために、柔らかなティッシュなどを使う。
外出時はマスクなどでしっかり鼻をカバーし、花粉をいれないようにしましょう。
のどの渇きは、適度な水分をとるようにしてください。


目の症状
 目の症状としては、まずかゆくなり白目のところやまぶたの裏も充血して赤くなり腫れぼったくなります。
また、涙が止まらなくなる方、かゆいために目をこすって結膜や角膜に傷をつけてしまい、目がごろごろする、痛くなるといった症状もでてきます。


対処法: 目を洗う、花粉用のメガネなどを着用する。
     目をこすって悪化させないよう、点眼薬などを活用。

 

 

花粉症の詳しい解説


花粉症の主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみで、これらは花粉症の4大症状と呼ばれています。

二次症状として、
●鼻詰まりによって匂いが分からなくなる。
●鼻がつまり口呼吸になってしまうため喉に炎症が起きやすくなる。
●後鼻漏と呼ばれる喉に流れる鼻汁により喉がイガイガしたり、咳や痰が出るなどが起こりやすくなる。
●喘息に似た症状が出ることもあり、すでに喘息がある場合はその発作が起きやすくなる。
●目の異物感や流涙、目やにが出やすくなると、結膜炎などにもなりやすい。
●耳の奥の痒みが出現することもある。
●小児の場合、痒みなどで鼻をいじることが多く、鼻血の原因になることも少なくないことから、副鼻腔炎などを合併することもある。(特徴は、眉間や目の下など、顔の奥の部分に重い痛みなどを感じる)。
●後鼻漏も起きやすくなる。(後鼻漏による鼻水が気道に入ると気管支炎の原因になり、特に副鼻腔炎は小児に多いといわれいる)。
●頭痛や頭重感、微熱やだるさなどの全身症状を呈する場合もある。

●ニセアカシアなどの花粉症では症状が比較的重く、これらの症状を示す場合が多くある。
●口から入った花粉や花粉を含んだ鼻水を飲み込んでしまうと、下痢・吐き気・腹痛などの消化器症状が出る場合もある。
●目の周りや目の下、首筋などによくみられる炎症などの皮膚症状は、花粉症皮膚炎と呼ばれることもある。
●また、アトピー性皮膚炎の人が、花粉症シーズンにかゆみが増すことも知られている。
いずれも花粉による症状であれば、花粉の飛散期に一致して症状がおこります。
●睡眠不足、集中力欠如、イライラ感、食欲不振やうつなど心理的影響を受けやすくなる、などがあります。

 
【鑑別症状】

感冒との違い
 花粉症は、水のようなサラサラした鼻水と目のかゆみが特徴的です。
感染症の鼻風邪であれば、一般的には目のかゆみはなく、数日のうちに鼻水は粘性の高いものになり、さらに黄色や緑など色のついたものとなります。また、屋外のほうが花粉が多いので、おのずと症状も強くなるという点も風邪との違いです。

 
他のアレルギー
 非常に似通った症状で、屋内のほうが症状が強い場合、ほこりなどのハウスダスト等によるアレルギー性鼻炎を疑われ、一般に「アレルギー性鼻炎」といった場合、こうしたハウスダスト等による通年のアレルギー性鼻炎のことを指すことが多い。
●スギ花粉飛散の前から症状が出る人も多くいますが、実際にごく微量の花粉に反応している場合だけでなく、季節特有の乾燥や冷気によるものもあると考えられているので、自己診断に頼らず、専門家の診断を受けることが望ましい。


その他の特徴
 症状には個人差があり、くしゃみや鼻水がひどいタイプと、鼻詰まりがひどいタイプ、両方ともひどいタイプなどに分けられます。
症状の程度も個人により異なります。
そうした症状のタイプと重症度により、適した治療(薬剤)なども異なってきます。
目の症状の重症度などによっても治療法は異なります。
同じ花粉飛散量であっても症状の程度が異なるほか、どの程度の花粉で症状が出るかの敏感さも個人によって異なります。

 1.花粉飛散量と症状は相関しない。
 2.花粉飛散量が2倍になったからといって、症状も2倍ひどくなるわけではない。
 3.簡単には、飛散量が1桁上がると症状は1段階ひどくなると思って大きな間違いではない。
 4.多量の花粉に曝露されると症状も悪化するが、少量であっても連続すると重症化していくのも特徴です。
 5.また、いったん最重症化すると、少々の花粉量の変化では症状は変化しなくなる傾向があり、花粉飛散期が終了しても、症状はなかなか改善しない。
 6.目覚めのときに強く症状が出ることもあり、俗にモーニングアタックといい、就寝中に吸い込んだ花粉が目覚めとともに症状を引き起こしたり、自律神経の切り替えがスムーズにいかないのが、鼻粘膜における高まった過敏性とあいまって症状が出ると考えられている。
 7.緊張すると症状がおさまる、リラックスすると症状が出てくるなどのことも、自律神経のバランスの具合によって説明されている。
 8.リラックス時や就寝時には副交感神経が優位となりますが、その場合に症状が出やすいという。なお、自律神経の影響を強く受けるのは鼻で、一般に気温差などにより鼻水が多く出るのが特徴です。
 9.雨の日なのに症状がひどい場合、花粉症にこれ(自律神経失調症)が合併していると考えることもある。
10.遅発相と呼ばれる症状もある。…6-10時間程度遅れて出てくる症状を遅発相といいます。花粉がないはずの室内で、就寝前などに強い鼻詰まりに悩まされる場合などがこれにあたると考えられており、空気清浄機等を使用しても症状の改善がない場合は、これであるかもしれない。


〈花粉症と喘息〉
 喘息のような発作については、咳が多く出たり呼吸機能の低下がみられ、重症例では呼吸困難になることもある。そうなった場合は無理をせずすみやかに救急医療機関を受診するか救急車を呼ぶべきである。
従来は、花粉の粒子サイズから、それらは鼻で捕らえられるために下気道の症状である喘息などは起きないとされていましたが、近年の研究でスギ花粉の周りにオービクルまたはユービッシュ体と呼ばれる鼻を通過するサイズの微粒子が多数付着していることがわかり、それらを吸引することで喘息が起こり得ることがわかってきました。
二次飛散を繰り返すうちに細かく砕かれる花粉もあるとの推測もあります。


〈花粉症とアナフィラキシーショック〉
 花粉のアレルゲン性の高さも異なり、花粉の種類と量によっては、まれにアナフィラキシーショックを起こすこともある。重症者や、特に喘息の既往症のある患者は、激しい呼吸によって多量の花粉を吸引するおそれがあるような運動はなるべく避けるべきです(スギ花粉のアレルゲン性はそう高くはない)。

 

 
◆果物などを食べると口の中にかゆみやしびれなどを生じる口腔アレルギー症候群(OAS)を起こす場合もある。特に北海道に多いシラカバ花粉症でよくみられるほか、関西で多いヤシャブシ花粉症などでもみられる。
リンゴ、モモ、ナシ、イチゴなど、バラ科の果実に反応することが多い。
患者の多いスギ花粉症ではあまりないが、メロンなどに反応する例が知られている。トマトにも反応するという(アレルゲンがきわめて類似しているためと考えられている)。


〈花粉症の原因植物〉

 ブタクサ他、花粉症を引き起こす植物は60種以上が報告されている。報告されていないものも含めればさらに多いであろうということは容易に想像できる。
春先に大量に飛散する
スギの花粉が原因であるものが多いが、ヒノキ科、ブタクサ、マツ、イネ科、ヨモギなど
他の植物の花粉によるアレルギーを持つ人も多くいる。

特にスギ花粉症患者の7~8割程度はヒノキ花粉にも反応する(よって、スギ・ヒノキ花粉症と呼んだほうがよいとの指摘もある)。また、「イネ科」と総称されることからもわかるとおり、その花粉症の患者は個別の植物ではなくいくつかのイネ科植物の花粉に反応することが知られている。

これらは花粉に含まれているアレルゲンがきわめて類似なため、交差反応を起こしているからである。
スギの少ない北海道ではスギ花粉症は少なく、イネ科シラカバによる花粉症が多いなど、地域差もある。中国地方、ことに六甲山周辺において、大量に植樹されたオオバヤシャブシによる花粉症が地域の社会問題になったこともある。
北陸の稲作が盛んな地域では、他地域よりもハンノキ花粉症が多い(シラカバ、ハンノキ、ヤシャブシ、オバヤシャブシなどは
口腔アレルギー症候群をおこしやすい
)。

アメリカではブタクサ、ヨーロッパではイネ科の花粉症が多い。北欧ではシラカバ等カバノキ科の花粉症が多い。

花粉症の原因となる植物は、風に花粉を乗せて飛ばす風媒花が一般的ですが、職業性の花粉症にみられるように、その花粉を大量かつ長期にわたって吸い込んでいれば、どんな植物の花粉でも花粉症になり得ると考えられている。
職業性の花粉症は果樹の人工授粉に従事する人など栽培農家によくみられるが、華道家が発症した例もある。
なお、セイタカアワダチソウ(セイタカアキノキリンソウ)の俗名がブタクサということもあり、ごく一部で混乱が生じている。実際、過去に花粉症の原因植物と言われたこともあったが、セイタカアワダチソウは虫媒花のため、原則的には花粉は飛ばさない。ただし、大群落を作ることが多く、こぼれた花粉が周辺に飛散してしまうことはある。同じキク科のブタクサやヨモギ等の花粉に対しても交差的に感作が成立することもある。


日本人の主食となっている米をとるイネは、花粉症の原因になることは少ない。(開花期が早朝でごく短く、水田で栽培されるためである)

これらの原因花粉をつきとめるためにはアレルゲンの検査が必要であるが、身近にその植物があれば患者自身でもわかりやすい。

※花粉の観測を行っている施設は多くありますが、そのかなりはスギ・ヒノキの飛散期間のみで、通年で行っていたとしても、ほとんどはビルの屋上などに装置を設置しているため、草花花粉についての正しい飛散情報は得ることがむずかしい。また、飛散範囲が局地的であることも、草花花粉の飛散情報を得るのが難しい原因となっている。※


 
【原因(医学的見地から)】
 花粉症は、患者が空中に飛散している植物の花粉と接触した結果、後天的に免疫を獲得し、その後再び花粉に接触することで過剰な免疫反応、すなわちアレルギー反応を起こすものである。
アレルギーの中でも、IgE(免疫グロブリンE)と肥満細胞(マスト細胞)によるメカニズムが大きく関与する、即時型のI型アレルギーの代表的なものである。


同じ
Ⅰ型アレルギーが主であるアトピー性皮膚炎では、Ⅳ型のアレルギー反応も部分的に関与するといわれる(症例によってはⅢ型も関与するといわれるが確証はない)。
花粉症でも、皮膚症状が出る場合は、Ⅳ型(接触性皮膚炎。いわゆるかぶれ)が関与している場合もあるだろうと考えられている。


 

【アレルギー反応のメカニズム】
 花粉症の患者は、症状が現れる以前にそのアレルギーの元(アレルゲン)になる花粉に接触している。目や鼻などの粘膜に花粉が付着すると、花粉内およびオービクルからアレルゲンとなるタンパク質が溶け出し、マクロファージ(貪食細胞)に取り込まれ、非自己(異物)であると認識される。この情報は胸腺由来のリンパ球であるヘルパーT細胞のうちのTh2を介し、骨髄由来のリンパ球であるB細胞に伝えられる。そして、B細胞はその花粉アレルゲンと特異的に反応する抗体を作り出す。抗体は本来、体内に侵入した病原細菌や毒素などの異物を排除・無害化するためのものであり、ヒトにはIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5つのタイプが存在するが、花粉症の患者で最も重要なのが
IgEである。(こうした抗体が関与する免疫反応を液性免疫という)このIgEは、血液や粘膜中に存在する肥満細胞や好塩基球に結合し、再び花粉アレルゲンが侵入してIgEに結合すると、様々な化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が遊離して症状を引き起こすことになる。なお、IgEが一定レベルまで肥満細胞に
結合した時を感作が成立したと言い、発症の準備が整ったことになる。どの程度までIgEが蓄積されると発症するかなどは個人差が大きいと考えられている。また、IgEのレベル以外に発症を誘引する因子があるのかないのかなどについても詳しいことは分かっていない。


いずれにしろ、ある年に突然に花粉症が発症したように思えても、それまで体内では発症のための準備が着々と進んでいたということである。このことを理解しやすくするため、一般にアレルギーコップという例えがよく用いられる。すなわち、体内のコップに長期間かけて一定レベルの発症原因がたまり、それがあふれると突然に発症するというものである。

 
感作が一旦、成立すると、原則的に花粉症の自然治癒は困難である。病原菌などに対する免疫と同様、「花粉は異物である」との情報が記憶されるためである。

 

【発症】
 遊離したケミカルメデイエーターのうちもっとも重要なのは、ヒスタミンとロイコトリエンである。
ヒスタミン:知覚神経(三叉神経)を刺激してかゆみを感じさせたりくしゃみ反射を起こす。また、分泌中枢を刺激することで腺からの鼻汁の分泌も増える。
ロイコトリエン:血管を広げ、水分などが染み出ることにより粘膜が腫れ上がる。すなわち鼻詰まりがおこる。目(眼瞼および眼球結膜)などにおける反応も同様である。
その他、PAF(血小板活性化因子)、トロンボキサンA2、プロスタグランジンD2などのケミカルメディエーター、各種のインターロイキンなどのサイトカインも症状に少なからず関係するといわれるが、花粉症(鼻アレルギー)の実際の症状においては、どれほどの影響があるのかなどくわしいことは明らかになっていない。
こうした症状そのものは、体内に入ってきた異物を体外に出すための反応であり、また引き続いて体内に入ってこないようにする正常な防衛反応であると解釈できる。しかし、害のない異物と考えられる花粉アレルゲンに対して過剰に反応し、それによって患者が苦痛を感じる点が問題となる。

【遅発相反応のメカニズム】

 症状を起こした粘膜では、血管から浸潤した炎症細胞(特に好酸球)からのロイコトリエン等によってさらなる鼻粘膜の膨張が起こる。その他のケミカルメディエーターや酵素などにより組織障害も起きる。抗原曝露後6~10時間にみられる遅発相反応がこれで、アレルギー性炎症と呼ばれる。こうした炎症細胞を呼び寄せるのも肥満細胞などから放出されるケミカルメディエーター(上記のPAFなど)である。


【慢性化反応のメカニズム】
 症状が繰り返し起こることによって、粘膜過敏性は増加し、症状は慢性化する。不可逆的な粘膜の肥厚なども起こり得る。重症例では、花粉の飛散が減少または終了しても、病変はすぐには改善されない。


【Th細胞のバランス】
 一つの仮説として、免疫系を制御しているヘルパーT細胞のバランスが関与するという考えがある。抗体産生細胞であるB細胞に抗原の情報を伝達するヘルパーT細胞は、産生するサイトカインの種類によりⅠ型とⅡ型(Th1とTh2)に大別される。これらのうち、インターロイキン4などを分泌してアレルギーに関わるIgEを産生するように誘導するのはTh2である。いっぽうのTh1は主に感染症における免疫反応に関わる。すなわちマクロファージやキラーT細胞などを活性化させ、細菌そのものやウイルスに感染した細胞を障害する(細胞性免疫という)。B細胞にIgGを産生させ、いわゆる正常の免疫を作ることにも関与する。
これらのことから、アレルギー患者においてはTh2が優位に働いているということがいえるが、なぜTh2が優位になるのかについてはよく判っていない。
幼少時における感染症が減ったためにアレルギーを起こしやすい体質になっているのではないかという説については、この仕組みが関与していると考えられている。
成長期において細胞性免疫を獲得する機会が減っているため、おのずとTh1よりTh2が優位になる人が多く、アレルギー人口が増えたというものである。
強く影響を与える感染症としては、過去に国民病ともいわれた結核が疑われている。鼻症状に限定すれば、やはり過去には多かった副鼻腔炎の減少の関与を考える場合もある。


これらヘルパーT細胞のバランスは出生後数ヶ月のうちに決まるとも、3歳程度までのうちに決まるともいわれるが、のちに人為的に変化させることもできるという説もある。

なお、ヒトは胎内にいるときや出生直後はもともとTh2優位の状態であり、また、Th1とTh2は相互に抑制しあう関係にあるという。 衛生仮説ともいわれるこの説は現在もっとも有力な説となっている。
しかし、近年の研究によれば、単にTh1/Th2バランスによってのみ説明できることばかりではないこともあり、調節性T細胞の関与を考える説も出されている。衛生仮説を説明したこのTh1/Th2パラダイムは1980年代後半に提唱されたものだが、広く免疫を考えるときに重要なものであることは現在でも変わりがない。
衛生仮説の応用として、結核のワクチンであるBCG接種によって花粉症の治療をしようという試みや、結核菌と同じグラム陽性菌である乳酸菌の一種を摂取することが治療に役立たないかどうかの研究も行われている。菌のDNAの一部であるCpGモチーフを抗原ペプチドとともに投与して減感作療法の効率をあげる試みもなされている。
関連として、環境中の細菌等が産生する微量の毒素が関係すると提唱する研究者もいるほか、最近では、医療における抗生物質の多用(によるヒトと共生している菌のバランスの崩れ)が関わっているのではないかという見方も出てきている。ピロリ菌感染との逆相関が認められることも報告された。

【その他の原因】
 花粉症の患者では、原因植物の花粉に対するIgE量が多いことは明らかであり、これがアレルギーを起こす直接の原因である。しかし、花粉症の原因となる花粉と接触しても全ての人が花粉症になるわけではなく、IgEが多くても発症しない人がいる。またIgEの量と重症度とは必ずしも相関しない。なぜこうしたことがあるかについては、遺伝要因(遺伝的素因)や環境要因などさまざまな要因の関与が考えられている(すなわち花粉症は多因子疾患である)が、全貌は明らかになっていない。

【遺伝要因】
 遺伝要因については、体質(いわゆるアレルギー体質)と呼ばれるものが相当する。しかし広義の体質は、遺伝による体質と、出生後に後天的に獲得した体質とが混同されているため、これらは分離して考える必要がある。アレルギーになりやすい遺伝的素因、すなわちIgEを産生しやすい体質は劣性遺伝すると考えられており、それを規定する候補遺伝子は染色体11qや5qなどに存在するといわれるが確証はない。
こうした遺伝的要因については、IgE産生に関わるもののほか、各種のケミカルメディエーター遊離のしやすさや受容体の発現のしやすさの違いなども考えられている。どんな物質に対してアレルギーを起こすかということも、遺伝的に規定されているとの説もある。

 

 なお、花粉症についての調査ではないが、両親ともアレルギーではない場合に子どもがアレルギーになる率は26.7%、両親ともアレルギーの場合は57.4%、母親または父親がアレルギーだと44.8/44.1%との数字がある。他のいくつかの調査でもほぼ同様である。

【環境要因】
 大気汚染や生活環境の変化、衛生環境の変化による人体の免疫作用の変化との関連が指摘されており、下記のような調査が進められている。
・自動車排気ガスによる大気汚染の関与 ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる微粒子 (DEP) や、ガソリンエンジンからも排出される窒素
・酸化物(NOx)、オゾン(O3)などに長期間暴露されることにより花粉アレルギー反応の閾値を下げる、アレルギー反応を増幅する等の影響が指摘されており、様々な実験・調査がされている。
・NHK地上TVでも、排気ガスと花粉の化合物の問題を取り上げ、幹線道路沿いの住民が花粉症派生率が高いと報道した。
また、そもそも東京都内などほぼ全域にわたって大気汚染物質の濃度が高いところでは疫学的研究による差が出にくい(比較的低濃度の地域であっても閾値を超えていることが考えられる)ことや、動物実験について臨床との差異があることを理由に結果を否定しようとする向きがあること、PM2.5 などこれまで充分に測定されていない物質の影響が調査できていないといった問題もあることから、環境省や大気汚染が進む自治体などでは、より広範な情報収集・調査を行うための観測地域や対象物質の拡大といった、観測体制の整備が進められている。
・大気汚染物質としては、前述の自動車排ガスのほか、自動車タイヤと道路の摩擦から発生する道路粉塵、煙草の煙や換気の悪い室内での暖房時に出るガス状物質、黄砂や土ぼこりなども、症状を悪化させるという報告がある。


【都市化の影響】
 都市化との関連については、それによりいつまでも空中を漂い続ける花粉数が増えているという説もある。 そのほか、従来からの日本式家屋とは異なる高気密の住宅が普及したことも、花粉症が増えた原因のひとつではないかという考えがある。高気密ではあるが高断熱ではない住宅では局所的に湿度が蓄積されやすく、不十分な換気などによってダニ・カビが繁殖しやすい環境になる。これによって幼少児期のうちからハウスダストに対するアレルギー性鼻炎や小児喘息などを発症し、中にはそれが原因で花粉症にもなりやすくなっている人もいるとの考え方である。すなわち、なんらかのアレルギーになると、それがきっかけで違うアレルギーにもなりやすくなるというものである(逆に、そうした時期にアレルゲンを絶つとアレルギーになりにくいとの研究もある。たとえば妊娠期および授乳期に卵を厳格に除去すると、卵に対するIgEが低値であるだけでなく、ダニに対するIgEも低値であったという研究もある。しかしさまざまなデータがあるため、現在では、それらの関連は不明であるとされている)。
 しかし、こうした住宅事情の変化はハウスダストアレルギー増加をうまく説明しても、前述のようにどのようなアレルゲンに反応するかは遺伝的に規定されているという説によれば、これが花粉症増加の原因であるとはいいがたい。ただし花粉症患者のかなりは、その発症以前にハウスダストアレルギーを発症しているという事実もあり、花粉症の素因を持った人の発症時期を早める影響は否定できない(そうであれば、高気密住宅の多い都市部に花粉症患者が多くなることも、ある程度は説明ができる)。 都市生活ならではのストレスや食生活の変化(洋風化)などについては、明らかなことはわかっていないが、個人により影響を強く受ける人もいるかもしれないとは考えられている。特に食品中のさまざまな栄養成分とアレルギーとの関連は、実験的なデータや理論(仮説)はあるものの、疫学的に実証されているとはいいがたい。建材などから発生する有毒化学物質や食品中の添加物の影響を考えるむきもあるが、花粉症との関連は調査されていない。授乳時の人工栄養や早期離乳などについてはいくつかのデータがあるが結論はなされていない。


【診断・検査】
 花粉症の検査は、その症状がアレルギー反応であることを証明すること。
アレルギーの原因となっているアレルゲンを特定すること(花粉で反応しているかどうか、感作されている花粉の種類の特定)の2点が重要であり、そのための検査が行われる。


【アレルギーの証明】
 感冒など、花粉症の症状に似た疾患があるため、症状をしっかり把握し、問診によってアレルギーの既往症や家族歴があるかどうか(アトピー素因があるかどうか)を調べることが必要である。また、鼻内の粘膜の様子を検査する。典型的な症状があって、実際に花粉飛散時期に一致しているのであれば、概ねこれだけで鑑別がつくことが多い。 一般的に追加して行われる検査は、鼻汁好酸球検査であり、これによってアレルギー症状であることがほぼ証明される。アレルギー症状特有の好酸球という白血球が鼻汁中に増加していることを、患者の鼻汁を採取し、染色法によって確認する。これは、診療時に簡単に行うことができる。 血液中の総IgEの定量(RIST)も参考になる。血液検査で分かる。ただし、重症度の目安にもなるが、必ずしも実際の症状とは相関しない。 副鼻腔炎などが疑われる場合はエックス線検査など、他の検査も一緒に行われることがある。


【アレルゲンの特定】
 アレルゲンを特定するためには、血液中の特異的IgE(RAST)を測定する方法がよく行われる。この血液検査は、採取した血液をに送付して行うため、結果が出るまで数日かかるが、検査用アレルゲンを用意しておく必要がないので簡便である。ただし費用はかかる。 その他、微量のアレルゲンを皮内注射して反応を調べる皮内テスト、針で小さく傷をつけたところにアレルゲンをたらして反応を調べるスクラッチ(プリック)テストなどの皮膚テストや、アレルゲンを染み込ませた紙のディスクを鼻粘膜にのせて症状を誘発させる鼻誘発テストなどがある。これらの実際に反応を調べる方法は、テスト前に患者が薬剤を使用していると正しい反応が得られない。薬剤の使用を数日以上中止して症状を我慢させなくてはならないため、シーズン以外での検査に適するといえる(薬剤を用いていない初診患者であれば適用となる)。 ただし、検査によってアレルゲンを特定しても、治療法には変わりがないため、その意義を疑問に考える医師もいる。しかし、患者自身が自分のアレルゲンを知って効率的に対処できたり、疾病に対する認識(自覚)が深まるようであれば、有用であるといえよう。

 
なお、花粉に限らずいくつかの代表的なアレルゲンは、日本においては定期健診のオプションメニューで受診ができる場合もあるので活用されたい。
現在日本で行われているアレルギーテストは血液検査のRASTのみであることが多い。しかし、RASTには陰性でも、欧米で一般的に行われている感度の高い皮膚テストが行われずに、皮膚テストで陽性の患者の原因アレルゲンの特定が不可能になることがある。RASTよりも感度の高い皮膚テストを行うことによって、患者の原因アレルゲンの特定をより正確に行うことの必要性を主張する医師もいる。

【受診が推奨される診療科】
 一般的には、花粉症の治療を受ける場合に適した診療科は耳鼻咽喉科であるが、近年のアレルギー増加にともない、たいていの医師は一定レベルの知識を有している。よって内科などでも充分な治療が受けられることがある。小児の場合は、慣れているという点で小児科のほうがよいことがある。同様に妊婦および授乳婦の場合は、産婦人科のほうがなにかと融通がきくことがある。 ただし、症状がひどい場合は、その部位の専門医にかかったほうがいいとはいえる。すなわち鼻や喉の症状であれば耳鼻咽喉科、目の症状であれば眼科、皮膚症状がひどい場合は皮膚科が適する。これらの診療科の標榜とともに、アレルギー科の標榜がなされていると、なおよいといえる(一般にアレルギー科単独で標榜していることは少ない)。ただし、アレルギー科を標榜している医療機関に必ずアレルギー専門医がいるとは限らない。
アレルギー専門医を調べるには、日本アレルギー学会や日本アレルギー協会に問い合わせるとよい(アレルギー学会のサイトにて調べることもできる)。 なお、自治体の保健所などが相談体制を整えつつあるので、まずはそこで相談するのもよい。

治療は目的や方法によっていくつかに分けることができる。 対症療法と根治療法 一般に花粉症の各症状を抑えることが目的のものは対症療法と呼び、花粉症そのものの治癒を目指すものは根治療法と呼ぶ。医療機関における各種の薬剤治療(薬物療法)は対症療法であり、現在のところ確実な根治療法は開発されていない。唯一、減感作療法が根治療法にもっとも近いものといえる。
初期治療を受け、花粉が飛散する前から薬の内服などをすると症状が出にくく、出ても軽くすむことは実証されている。スギ花粉症のシーズン前には、飛散開始時期の予測が出されるので、それを目安に2週間程度前に受診し、適切な薬の処方を受けて使用をはじめるとよい。症状がひどくなると炎症を抑えるのが難しくなる傾向があるので、予防ができなかった場合でも、できるだけ軽いうちに受診したほうがよい。

花粉症はアレルギーであるため、その治療に用いられるものは抗アレルギー薬といえる。それらは薬理作用により以下のように大別できる(広義ではステロイド薬をも含めて抗アレルギー薬と考えることもある)。

ステロイド薬は、遊離抑制作用や受容体拮抗作用などといった限られた作用ではなく、アレルギーのメカニズムのほとんどを抑制するので、抗炎症作用も強く、多くはこの作用を期待して用いられています。しかし、強力にアレルギーを抑えるということは、免疫そのものも減弱させるということでもあり、不必要な長期投与など不適切な使用によって他の感染症を招いたり、体内のホルモンバランスが崩れることにより重い副作用や後遺症が現れることもあります。

実際、花粉症においては主に重症例に対する抗炎症作用を期待して用いられる。抗ヒスタミン薬の内服などでは充分な効果がない場合、副作用の心配があるので短期間または頓服として内服が行われます。症状を抑える効果が高いこともあり、漫然と処方を続ける医師も存在し、副作用だけでなくステロイド離脱困難に陥ることがあり、特に小児に長期投与を行うと成長障害など重大な副作用が起こり得ます。基本的に短期であれば問題となる副作用はありませんが、長期服用により副作用である眠気を感じることがあります。 点鼻薬のステロイドの場合は、局所に作用したのち体内ですばやく分解されるものもあり、副作用の心配も少ないため、重症の鼻炎がある場合には積極的に用いられる(医師により、重症でない場合も積極的に用いる場合がある)。特に遅発相による鼻詰まりに効果的とされる。鼻血が出やすくなる副作用を感じる患者もいる。 目の症状がひどい場合もステロイドの点眼薬が出されることがあるが、副作用に注意して慎重に使う必要がある。眼圧などの検査ができる眼科専門医に処方してもらうことが望ましい。 スポーツ選手が注射で良くなったことが、口コミで広まったことがあるが、徐放性ステロイド療法は、1回の「注射」で治ると噂になっている治療だが、統計によれば1回だけの注射で満足な効果を得られる例はそう多くはなく、鼻アレルギーの診療ガイドラインにおいても、望ましくない治療とされていて、内服と同様、全身のアレルギー(免疫)や炎症を抑える方法であるが、デポ剤という、油に薬剤を溶かした徐放性のものが用いられるため、筋肉内にとどまった注射液から数週間にわたって薬剤が放出され続ける点が異なり、報告されている副作用も多く、のちのちの体調に影響する後遺症の心配もあります(骨粗しょう症など)。 なにをやってもかんばしくなかったという患者の最終手段に近い治療法、または事情があってどうしても薬の内服などができない場合の治療法であり、もしも副作用が出ても体から薬を抜く方法がないというリスクを考え、インフォームドコンセントを確実に行い、注射前後の検査を怠らぬよう慎重に実施すべきです。
もちろん根治療法ではありません。 ステロイドであることを隠して注射をする医師がいたり、患者もなんの疑問も持たずに気軽に注射を受けているなど、なにかと問題の多い治療法といえます。本来は保険適用の治療法であるが、自由診療(保険外診療)として高額な治療費を請求する医師もいる。注射した部位がへこむなどの副作用で訴訟になった例もあるといわれる。注射の副作用だと気づかなかったり、医師から示談を提示されるなどのため、表に出てこない事故も多いと考えられている。相談や苦情をいう第三者機関が事実上存在しないため、事故があっても患者は泣き寝入りをするしかないことも多いとみられる。
ステロイド剤(デポ注射)--トリアムシノロンアセトニド(ケナコルトA等)、酢酸メチルプレドニゾロン(デポ・メドロール等)等
デポステロイド筋注による副作用の例--満月様顔貌3.9% 副腎皮質機能低下0.1% 皮膚・皮膚付属器障害3.9% 月経異常ほか3.9% 適用部位障害(萎縮ほか)1.4%

 

【漢方薬による治療】
 漢方薬による治療も行われる。従来の漢方専門薬局のみならず、総合病院や開業医でも扱うことが増えてきており、漢方科を設置するケースも見受けられる。有名メーカーの顆粒エキス剤は医療保険対象のものが多い。元来、漢方薬は症状ではなく、個々人の体質によって薬を選択するので、漢方専門家の診断と、予後経過観察しながらの投薬の種類や用量の適宜変更が必要であるが、西洋医は、効果のマイルドな薬という観点で西洋薬学的に用いることが多いため、時に上記の抗ヒスタミン薬など西洋薬との併用も行われるが、そのような運用手法は東洋医学的には誤りである事も多い。花粉症の症状はアレルゲンと接触洋医学には精通していないのが主因である。例えば小青竜湯は水気の貯まった肺や気管支を乾かし熱を帯びさせるが、その予後を経過観察せず飲み続けると今度は鼻炎など炎症が悪化してしまう、という。適度の鼻水で潤されるのも、きちんとした生理的理由があるのである。うかつに症状を取るだけでは漢方医療とは言えない。 よく誤解されているが、漢方薬なら副作用がないというのは誤り。
特に小青竜湯や葛根湯に含有されるマオウは、体質や服用量により動悸や血圧上昇などが起こる可能性があるので、服用に当たっては熟達した漢方薬剤師か、漢方処方経験に厚い西洋医師に運用を依存するべきである。
メジャーな漢方材料による副作用は他に、カンゾウによる偽性アルドステロン症(低カリウム症状が出る)や、ジオウとダイオウなどでの下痢、柴胡処方による血流や体温の低下に伴う、衰弱の進行した重病患者の合併症増発などが代表的(柴胡での合併症増発は、漢方に未熟な西洋医のオペミスとして有名)。虚弱体質の人が小柴胡湯を飲んで冬の山に行くと、凍えて動けなくなってしまう恐れすらある。消炎作用が強いためである。この場合はせめて柴胡桂枝湯などに処方を変えなくてはいけない。
花粉症によく用いられる漢方薬(ただし個々人でケースバイケースである)。


以下の通りに薬種を選択すべきではない)--
(頓服の対症薬として):小青竜湯、葛根湯、柴朴湯、小柴胡湯、荊芥連翹湯、麻黄附子細辛湯等
(対症薬を飲む前に、あるいは同時服用による、基礎体質強化として):補中益気湯、六君子湯、人参湯、帰脾湯等 このように、症状を抑える即効性の薬のほか、長く飲み続けて体質を変えて根治をねらうとされる種類の薬もある。


体力と免疫力の落ちた状態、血行の悪い部位、リンパの蓄積でむくみがある状態、ではアレルギー物質に弱くなり反応が悪化する、というように、気血水や胸脇苦満などの理論に基づいた、基礎体力をはじめとする体質改善の方が、対症療法よりも効果が高いケースも往々にしてある。体質が弱体化したまま、対症薬だけ服用しても、山火事に放水するに等しいなどという例えられ方をする。
おおむね、女性の妊娠・授乳期にも比較的安全といわれる処方が多いが、逆に妊婦には禁忌の処方や望ましくない服用量、服用法もあるので、処方箋を出した主治医に事前に相談することが望ましい。これも『漢方に副作用は無い』という風説と同じく、眉唾と言える。


【ハーブによる緩和】
 最近になって、ハーブによる発症抑制、緩和が注目されている。抗アレルギー作用のあるネトル、抗ウイルス効果の高いエルダーフラワー(ニワトコ、英:Elder flower)、免疫力を強化するエキナセアが特に注目されるほか、鼻通りを良くするペパーミントや鼻の粘膜に効くレモンバーム、鼻炎に効果の高いカモミールや殺菌力で知られるユーカリ、気管支炎に良いとされるブルーマロウ(ウスベニアオイ、英:Malva sylvestris)、目の粘膜を強くするアイブライト(コゴメグサ、英:Eyebright)などにも緩和効果があると話題にされることが多い。いずれも健康茶の域であって、ステロイド剤のような強力性や漢方薬ほどの薬用性、即効性はないが、シーズン中の常用茶として利用することに有意義性がみられる。最近の流行で、ハーブティー専門店にてこれらハーブが調合されたブレンドティーが多く発売されている。


【代替医療・民間療法】
 代替医療・民間療法には、食品や飲料の摂取などのほか、さまざまなグッズ類を使用したり、鍼灸などの伝統医療や整体、医師によらない漢方治療などがある。

乳酸菌類...衛生仮説とも関わりがあり、臨床試験やメカニズムの解明が進められている。
地方の特産品...消費推進のため、その健康効果を実証する試みも多く行われているようである。
ポリフェノール(4000~5000種類あるという)...植物生薬の一部において、植物の苦味・渋み成分が広義の抗アレルギー効果を示すという。
ビタミンの一種...植物生薬成分中に含まれ、症状の軽減に有効とされたこともある。 これらの成分とビタミン・ミネラル等を配合したサプリメント類や清涼飲料水など、いわゆる健康食品類も多く出ている。

2007年2月、スギ花粉(スギのつぼみ)をカプセルにつめた健康食品にて、服用した患者が一時意識不明になるという事故がおきた。厚生労働省は、「残念ながら民間医療の多くに十分な効果の根拠があるとは言えません。」「安全性が危惧される民間医療も指摘されています。」としている(厚生労働省)。

【花粉症の症状はアレルゲンと接触 医療費等】
 使われる医療費は、1994年の推計では年間1200~1500億円とされた。1998年の調査では、有病率10%とした場合の年間医療費が2860億円、労働損失が年間650億円と推定された。 なお、第一生命経済研究所の試算によれば、患者が花粉症対策に用いる費用(俗に花粉症特需といわれる)は639億円に上るが、シーズン中の外出などを控えるために、1~3月の個人消費が7549億円減少するという(ただし、これはスギ花粉の大飛散があった2005年の場合である)。